南丹広域振興局
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除草剤に代わる除草法として、専用の機械による除草作業を実施しました。使用した機械は、国の研究機関の「水稲有機栽培の手引き」でも紹介されている3輪タイプ4条用で除草部が運転席より前にあります。この記事では、除草の仕組みとうまくいかなかった点を紹介します。
イネの条間はローターで田面を掻き起して雑草を浮かせます。イネの上(株間)は針金のようなもので土面を浅く左右にこすり、イネと比べ根の浅い雑草のみ浮かせます。雑草の根が深くなると取除けないため、作業適期が大変重要になります。田植え後7~10日間隔で2、3回除草作業が必要で、適期を逃すと株間の雑草が残ります。
この水田は田植えから7日目の除草作業でしたが、代かきから田植えまで7日開いたため、すでに雑草が多数発生していました。代かきから14日後の除草となったため、条間は除草できましたが株間は残草が見られ、以後の蔓延が心配されます。1回目の除草作業は、代かき後の日数が重要になりそうです。
3輪で除草部が前にあるため操作しやすいですが、すでにイネが植えてあることから、除草部の深さ調整や走行は慎重を要します。しかし、丁寧な作業を行っても、旋回部分や耕盤の凹凸で除草機が傾くとイネに欠株が生じます。
今後も除草作業や当該水田の観察を続けて除草機の長所、短所を明らかにし、導入に向けての検討材料を蓄積していきます。
無肥料では水稲の生育・収量に限界があるため、窒素成分の多いマメ科緑肥に注目しました。肥料効果に加えて抑草効果も期待できるヘアリーベッチを、学校給食向け水稲栽培に活用する試みを始めています。緑肥として代かき前にすき込み、水稲の生育・収量、雑草発生にどう影響するか観察していきます。
すき込み前のヘアリーベッチです。秋(10月)には種しましたが、冬期に湿害を受けたためか、繁茂の程度にムラがあります。繁茂している部分では4月10日のすき込み時には窒素成分5.8kg/10a程度と推定されました。すき込み後の期間が長いほど分解して窒素は減少します。
トラクタでのすき込み作業。すき込み時の草高は茂ったところで約40cmでした。ロータリへの巻き付き(写真左下)はあったものの、問題なく作業を終えました。一般的に草高30cmを越えれば、モア等の機械で細断してからすき込むことを推奨しています(4月10日)。
一方、春まき(2月27日は種)のヘアリーベッチの状況です(写真左)。は種量が少なく(2kg/10a)、3月の低温で出芽が遅れたうえ、溝はあるものの排水はよいとは言えず、その後の生育も遅く5月20日頃すき込み予定での生草量は確保できそうにありません。
ただし、別の排水の良いほ場(黒大豆予定)では、3月後半は種でも5月にはいって急速に生育しています(写真右)。しっかり排水対策をして5月下旬以降にすき込む場合ならば、春まきでも生草量は確保できるかもしれません。
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